2020年09月11日

勉強メモ 差押えと時効

*勉強メモのため、記載の正確性を担保するものではありません。

差押えが空振りに終わった場合、消滅時効はどうなるか?

差押えの場合、債権を取り立てた後、取立届を提出した時に事件は終了する。

差押えが空振りに終わった場合、つまり、預金口座を差し押さえたものの、預金がなかったり、金額が少なかったりと言った事情により取り立てを行わない場合、取立て届を出すことができないので、取下げをすることによって事件を終了させなければならない。

取下げをしないままの状態になってしまうことが問題となっていた。

そこで、民事執行法が改正された。
金銭債権を取り立てることができるようになってから2年を経過した後4週間以内に差押債権者が届出をしないときは、裁判所は、差押命令を取り消し、事件を終了させることができる。
(差押債権者の金銭債権の取立て)
第百五十五条 金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
2 差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「一週間」とあるのは、「四週間」とする。
3 差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。
4 差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
5 差押債権者は、第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日(前項又はこの項の規定による届出をした場合にあつては、最後に当該届出をした日。次項において同じ。)から第三項の支払を受けることなく二年を経過したときは、同項の支払を受けていない旨を執行裁判所に届け出なければならない。
6 第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日から二年を経過した後四週間以内に差押債権者が前二項の規定による届出をしないときは、執行裁判所は、差押命令を取り消すことができる。
7 差押債権者が前項の規定により差押命令を取り消す旨の決定の告知を受けてから一週間の不変期間内に第四項の規定による届出(差し押さえられた金銭債権の全部の支払を受けた旨の届出を除く。)又は第五項の規定による届出をしたときは、当該決定は、その効力を失う。
8 差押債権者が第五項に規定する期間を経過する前に執行裁判所に第三項の支払を受けていない旨の届出をしたときは、第五項及び第六項の規定の適用については、第五項の規定による届出があつたものとみなす。

差押えが法律の規定に従わないことによって終了した場合は、時効の完成猶予の効力しか生じないが、このことは、上記差押命令の取り消しの場合にも適用される。
(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十八条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 強制執行
二 担保権の実行
三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続又は同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。

つまり、差押えが空振りに終わった場合、時効中断の効力は生じないこととなってしまう。

Posted by mc1575 at17:04

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この記事へのコメント
差し押さえを取り消すなどがあるんですね。
Posted by ととと at 2020年10月24日 00:35
 

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